『あの娘たずねて』の爆発的ヒットは、その年の大晦日に放送された『第17回NHK紅白歌合戦』(1966年12月31日放送)への初出場という最高峰の栄誉をもたらしました。当時、佐々木新一はわずか19歳(数え年で20歳)。白組の若手ホープとして舞台に立った彼の姿は、日本中のテレビ受像機を通じて鮮烈な記憶を刻み込みました。
佐々木新一の歌唱における最大の武器は、天性の美声と津軽民謡の稽古によって培われた圧倒的な「ハイトーンボイス(高音の抜け)」です。師匠の桜田誠一は、佐々木新一の声帯について「突き抜けるような高音域でも一切の濁りがなく、芯の太い哀愁を帯びている」と高く評価していました。
声楽の専門家による分析でも、佐々木新一の発声は一般的な演歌歌手に多く見られる喉を絞るような「コブシ」の多用とは異なり、ベルカント唱法にも通じる胸声から頭声への滑らかな共鳴移行が特徴とされています。紅白歌合戦の生放送という極限の緊張感のなかでも、全くブレることなく響き渡った最高音のロングトーンは、当時の音楽関係者や審査員席を唸らせるに十分なインパクトを与えました。