アイドル出身の若手女優にとって、顔を著しく歪める演技はイメージダウンに直結しかねない大きなリスクを伴います。それでも彼女が躊躇なく表情の限界を突破できた背景には、希代のヒットメーカー・福田雄一監督との出会いと、橋本環奈自身の並外れた役者魂が存在していました。
当時の特番インタビューや公式会見において、福田監督は演出の舞台裏について「環奈ちゃんには『鼻の第一関節が入るまでしっかりほじって』『白目は黒目が完全に見えなくなるまで上げて』と現場で細かく指示した」と明かしています。並のタレントであれば躊躇するような過激な要求に対し、彼女は一切の出し惜しみをしませんでした。
本人が後の対談で語った「やるなら中途半端が一番みっともないし、原作ファンにも失礼。やるからには突き抜けたかった」という発言は、彼女の仕事に対する覚悟を端的に物語っています。マネージャーや事務所側も彼女のポテンシャルを信じ、過度なイメージ防衛に走らず現場のクリエイティビティを最優先した結果、類まれなケミストリーが生まれたのです。