焼酎と日本酒を分ける最大の境界線は、製造工程における「蒸留」の有無にあります。お酒は大きく「醸造酒」「蒸留酒」「混成酒」の3つに分類されますが、日本酒は醸造酒、焼酎は蒸留酒に属します。
米・麦・芋など原料と製法の違いを整理すると、その仕組みがよく分かります。日本酒の原料は基本的に「米・米麹・水」のみです。米のデンプンを麹菌の力で糖に変え、同時に酵母によってアルコール発酵させる「並行複発酵」という高度な伝統技術を用いて造られます。発酵が終わったもろみを搾り、液体と酒粕に分離したものが日本酒です。
一方の焼酎は、原料の幅が極めて広いのが特徴です。米はもちろん、サツマイモ(芋)、大麦(麦)、ソバ、黒糖など多彩な素材が使われます。原料を発酵させて作ったもろみを単式または連続式で加熱し、沸騰して立ち上るアルコールの蒸気だけを集めて冷却・液体化させたものが焼酎です。水分や糖分は蒸発せず釜の中に残るため、純度の高いアルコールと原料由来の揮発性香気成分だけが抽出されます。
甲類焼酎と乙類焼酎(本格焼酎)の違い
焼酎は酒税法上、蒸留方法の違いによって以下の2種類に大別されます。
- 甲類焼酎(連続式蒸留焼酎):連続式蒸留機を用いて何度も蒸留を繰り返す製法。アルコール純度が約96%まで高められ、クセや雑味がほぼない無色透明な仕上がりになります。主にチューハイやサワーのベースとして用いられます。
- 乙類焼酎(単式蒸留焼酎/本格焼酎):伝統的な単式蒸留機で1回(または2回程度)のみ蒸留する製法。原料である芋や麦、米本来の芳醇な風味や香りが強く残るのが特徴です。国税庁の定める基準を満たしたものは「本格焼酎」と表示できます。
日本酒の特定名称酒(純米酒・吟醸酒など)の分類基準
日本酒もまた、原料や米を削る割合(精米歩合)によって細かく格付けされています。国税庁が定める「清酒の製法品質表示基準」に基づく日本酒の特定名称酒(純米酒・吟醸酒など)は、主に以下の表のように分類されます。
- 純米酒系(純米酒・特別純米酒・純米吟醸酒・純米大吟醸酒):醸造アルコールを添加せず、米・米麹・水だけで造られた酒。米本来のふくよかなコクと旨味が際立ちます。
- 吟醸・本醸造系(本醸造酒・特別本醸造酒・吟醸酒・大吟醸酒):風味の調整や香りを引き立てる目的で、規定量の醸造アルコールを添加した酒。精米歩合を60%以下まで磨いて低温長期発酵させた「吟醸造り」を施すことで、華やかな果実のような吟醸香が生まれます。