顔が腫れて激痛に襲われた際、やってしまいがちな間違ったセルフケアが病態を急速に悪化させることがあります。受診までの数時間を安全にしのぐための正しい応急処置を整理します。
最も多い間違いが「患部を温めてしまうこと」です。「痛いときは温めて血行を良くすれば治る」と思い込み、入浴で湯船に浸かったり、ホットタオルを当てたり、患部をカイロで温めたりする人が後を絶ちません。しかし、急性炎症の段階で温めると、局所の血管が拡張して血流が急増し、組織内の内圧がさらに上昇して激痛と腫れが爆発的に悪化します。当日の入浴はぬるめのシャワー程度に留め、長湯やサウナ、激しい運動、飲酒は絶対に避けてください。
一方で、過度な冷却にも注意が必要です。氷嚢や保冷剤を皮膚に直接長時間当て続けると、毛細血管が極度に収縮して血流障害を起こし、組織の壊死や凍傷を招くだけでなく、冷やすのをやめた際の反跳作用で腫れがひどくなる場合があります。正解は、「濡れタオルや冷湿布、ジェルシートを頬の外側から当てて熱感をマイルドに取る」ことです。
また、痛み止めの代表格であるロキソニン(ロキソプロフェンナトリウム)やイブプロフェンなどのNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)は、痛み物質であるプロスタグランジンの生成を抑え、一時的に激痛を和らげる効果があります。しかし、「鎮痛薬は細菌を殺す薬(抗生物質)ではない」という冷徹な事実を忘れてはなりません。薬で痛みが引いたからといって治ったわけではなく、体内では細菌感染が広がり続けています。痛みが消えている間に必ず歯科医院へ向かうための「移動用の時間稼ぎ」としてのみ服用してください。