猫の愛らしさを語る上で、インターネット上で時折センセーショナルに取り沙汰されるのが「猫の寄生虫 トキソプラズマ」に関する言説です。「猫を可愛いと感じるのは、トキソプラズマに脳を操られているからだ」という極端な説を目にしたことがある方もいるでしょう。
トキソプラズマは猫を終宿主とする原虫で、感染した齧歯類(ネズミなど)の恐怖心を麻痺させ、猫に捕食されやすくする行動変容を引き起こすことが知られています。しかし、「人間が猫を愛おしいと感じる主因がトキソプラズマ感染である」とする主張は科学的な誤解です。感染の有無にかかわらず、ベビースキーマやオキシトシン分泌のメカニズムはすべての正常な人間の脳で等しく作動します。
また、完全室内飼育が主流となった現在、加熱殺菌されたキャットフードを食べる飼い猫から感染するリスクは極めて低く抑えられています。オカルト的な宿主操作説ではなく、進化の過程で築かれた知覚と感情の相互作用こそが、猫を愛する真の理由です。