「教え子の将来を守る」という倫理観と、「目の前の勝利を掴み取らせたい」という勝負師としての本能。監督たちは常にこの狭間で苦悩している。甲子園の名将として知られる明徳義塾の馬淵史郎監督をはじめ、多くの指導者がルールの意図を理解しつつも、現場での決断の難しさを指摘してきた。
とりわけ一発勝負のトーナメントでは、1球の重みが異なる。エースが完璧なピッチングを続けている最中、球数上限に達して交代を余儀なくされ、直後に逆転を許すという事例も発生している。「選手の未来を守るための交代」が、時に球児たちが3年間捧げてきた夢の終わりを意味するという矛盾は、今も現場の胸を締め付けている。