海外からの旅行客が日本の喫茶店を訪れた際、メニューにある「ホットケーキ」を見て戸惑うケースが少なくないという。欧米人にとって、それは「Pancake」以外の何物でもないからだ。しかし、日本の喫茶店文化において、ホットケーキは独特のノスタルジーを内包した聖域である。
銅板でじっくりと焼かれ、四角いバターとメープルシロップが添えられた昭和レトロなホットケーキは、もはや一つの文化財だ。このガラパゴス的な進化こそが、日本における二つの言葉の棲み分けを決定的なものにした。日常の家庭の味としてのホットケーキと、非日常の体験としてのパンケーキ。私たちは無意識のうちに、その世界観を使い分けている。