「背中が曲がっているのは、普段の姿勢やスマートフォンの見すぎが原因ではないか」と自責の念に駆られる親御さんは後を絶ちません。しかし、日本側弯症学会の知見でも明らかなように、小児・思春期に発症する側弯症の約80〜85%は特発性側弯症と呼ばれる原因不明のものです。理化学研究所や慶應義塾大学などのゲノム研究チームによる追跡調査でも、感受性遺伝子(LBX1やGPR126など)の関与が特定されており、本人の生活態度や親の育て方に起因するものでは決してありません。
見逃してはならないのが、発症初期の身体が発する微細なSOSです。痛みを伴わないケースが多いため、外見のわずかな変化から異変を察知する脊柱側弯症初期症状見分け方が極めて重要になります。
最も信頼性の高いスクリーニング法が「アダムス前屈検査」です。両足を揃えて立ち、両手のひらを合わせて脱力しながらゆっくりと前屈した際、検者が後方から背中を水平に見渡します。このとき、以下の兆候が1つでもあれば専門医への受診が推奨されます。
- 肩の高さの左右差:左右どちらかの肩が明らかに下がっている、または上がっている。
- 肩甲骨の突出度:前屈時に片方の肋骨や肩甲骨がコブのように盛り上がる(ハンプバック現象)。
- ウエストラインの非対称:腰のくびれの位置や角度が左右で異なり、片側の骨盤がせり出して見える。
- 腕と体幹の隙間:直立時に腕を自然に下ろした際、体と腕の間にできる三角形の空間が左右非対称になる。
放置する最大のリスクは、第二次性徴に伴う「身長の急激な伸び」に連動して湾曲が一気に悪化する点にあります。骨の成熟前に湾曲が進むと、背骨のねじれが胸郭を変形させ、肺活量の低下や心機能障害を引き起こす恐れすら生じるのです。