「日中は比較的落ち着いているのに、就寝後や深夜から早朝(午前2時〜4時頃)にかけて猛烈な咳き込みと痰の絡みで目が覚める」という訴えは、喘息患者に共通する典型的な現象です。ネット上のコミュニティや知恵袋等でも「夜中に窒息しそうになる」という切迫した声が多く見られます。
この時間帯特有の悪化には、人体の自律神経とホルモン分泌のサーカディアンリズム(体内時計)が直接関与しています。
まず、睡眠中は副交感神経が優位になります。副交感神経が優位になると気管支平滑筋が収縮して空気の通り道が一段と狭くなる上、気道分泌腺が刺激されて粘液の分泌が促されます。さらに、抗炎症作用を持つ体内ホルモン「コルチゾール」の血中濃度は深夜から未明にかけて一日の中で最も低下します。
加えて、就寝中は水分を摂取しないため気道内が極度に乾燥し、横たわった姿勢(臥位)によって喉の奥へ鼻水が垂れ込む「後鼻漏(こうびろう)」が気管を刺激します。これら複数の生理的因子が重なり合うことで、深夜帯に痰の絡んだ激しい咳発作が誘発されるのです。