アキレス腱断裂後に強い引きつれが生じる背景には、生体が傷口を塞ごうとする修復機構と固定期間に伴う身体の変化が関係しています。アキレス腱断裂のつっぱり感が生じる理由は、主に以下の3点に集約されます。
第1の理由は「瘢痕(はんこん)組織の形成と組織の癒着」です。断裂したアキレス腱が繋がる際、元通りの腱細胞だけで再生するわけではありません。傷口を埋めるためにコラーゲン主体の強固な瘢痕組織が大量に作られます。この瘢痕組織は元の腱よりも柔軟性が低く、太く硬い塊となります。さらに、修復の過程でアキレス腱と周囲のパラテノン(腱傍組織)や皮下組織がくっつく「癒着」を起こすため、足を背屈(つま先を上げる動き)させた際に引きつれが生じます。
第2の理由は「関節の拘縮と下腿三頭筋の短縮」です。ギプスや装具で足首をつま先立ち(尖足位)に近い状態で固定していたため、足関節を包む関節包やふくらはぎの筋肉(下腿三頭筋)が縮んだ状態で固まります。筋肉自体の柔軟性が低下していることも、腱の突っ張りを助長する大きな要因です。
第3の理由は「血流の停滞とむくみによる内圧の上昇」です。ふくらはぎの筋ポンプ作用が低下することで下肢に老廃物や水分が溜まりやすくなります。局所がむくむと組織の内圧が上がり、足首を曲げた際の抵抗感がさらに強くなります。