インターネット上や雑学本などで長年語り継がれている有名な説に、「規格に適合した真円のガラス玉をA玉としてラムネに使用し、規格外で弾かれた歪な玉をB玉(規格落ち品)として子どもの玩具にした」というものがあります。非常に整ったストーリーですが、これは近代に作られた俗説(都市伝説)であることが判明しています。
日本硝子製品工業会やガラス歴史研究資料によると、「ビー玉」という言葉の語源は、ポルトガル語でガラスを意味する「ビードロ(vidro)」が転じたものです。江戸時代から明治期にかけてガラス玉は「ビードロ玉」と呼ばれており、それが省略されて「ビー玉」へと定着しました。
そもそも、ラムネの密閉弁として使われるガラス玉には、炭酸の内圧を逃さないための極めて厳格な直径公差(ミリ単位以下の真円度)が求められます。規格外の歪な玉が大量に出回るような製造管理では瓶詰め自体が成立せず、「B玉を玩具として流通させた」という記録は当時の硝子メーカーの公的資料にも存在しません。「A玉があるからB玉」という語呂合わせが、後付けの雑学として広く信じ込まれてしまった典型例です。