世間を騒然とさせたこの造形は、決して奇をてらっただけの思いつきではありませんでした。デザインを手掛けたのは、絵本作家でありグラフィックデザイナーとしても名高い山下浩平氏(mountain mountain代表)率いる制作チームです。
山下氏は、2026年に決定していた大阪・関西万博の公式ロゴマーク(通称「いのちの輝きくん」、シマダタモツ氏率いるTEAM INARI制作)が持つ有機的な細胞のモチーフを巧みに継承。万博のメインテーマである「いのち輝く未来社会のデザイン」を具現化するため、あえて固定された骨格を持たないデザインを設計しました。
公式設定における正体は、「清い水と細胞がひとつになったことで生まれた、定まった形を持たない生命体」です。赤い球体部分は分裂し増殖する細胞であり、青い部分は自在に姿を変える水を表しています。自らの身体を流動的に変化させられるという設定こそが、後の立体展開やアニメーション表現において絶大な効果を発揮することになります。
また、キャラクターのアイデンティティを決定づけた愛称「ミャクミャク」は、2026年4月から5月にかけて公募され、応募総数3万3,197件の中から厳正な審査を経て選ばれました。人間の血管や生命の「脈」、親から子へと受け継がれる歴史や文化の「脈々とした連続性」を表現したこの名称は、不気味と評されたビジュアルに確固たる生命論的ストーリーを吹き込む決定打となりました。