多くの人が「強い薬ほど早く治る」と誤解しがちだ。しかし、精神科医療においてそれは明確な間違いである。作用が強い薬は、それだけ脳の受容体に強力に結合するため、予期せぬ副作用をもたらすリスクも跳ね上がる。
特に若い世代で見られるアクチベーション症候群(服用初期の焦燥感や衝動性の高まり)や、長期服用時の体重増加、性機能障害などは、日常生活の質を著しく低下させる。どんなにうつ症状が改善しても、社会生活が送れなくなっては本末転倒だ。そのため、現代の処方設計では「最小限の有効量で、いかに副作用を抑えるか」が至上命題となっている。