実在しないヌード写真集の噂が、デビューから数十年を経た現在に至るまで完全に消滅しない背景には、複数の心理的・メディア的要因が複雑に絡み合っています。
1. 徹底したメディア制限と「清純派」イメージのギャップ
ZARDをプロデュースしたビーイング(現・B ZONE)グループは、テレビの音楽番組やバラエティへの露出を極限まで絞り込み、CD音源とプロモーションビデオ(PV)のクオリティで勝負する「非露出ブランディング」を貫きました。PVで見せる坂井泉水の姿は、白シャツにノーメイク風のナチュラルメイク、紺のブレザーといったストイックで知的な佇まいが中心でした。
この「神聖化された清純派歌姫」というパブリックイメージが定着すればするほど、過去のレースクイーン衣装やビキニ水着グラビアとの落差が大衆に衝撃を与えました。バブル崩壊前後の開放的な水着グラビアという既成事実が、人々の覗き見趣味的な心理と結びつき、「過去を隠している=実はもっと過激なヌード写真集があるに違いない」という短絡的な推測へとすり替わっていったのです。
2. 悪質な海賊版・アイコラ画像とネットのアダルトアフィリエイト
インターネット黎明期から2000年代初頭にかけて、芸能人の顔写真をアダルト画像の裸体に合成する「アイコラ(アイドルコラージュ)」がアンダーグラウンドで横行しました。知名度抜群でありながら私生活がベールに包まれていた坂井泉水は、悪質な合成画像の格好の標的とされた過去があります。
さらに後年、アダルトサイトやまとめブログがアクセス数を稼ぐため、「坂井泉水 ヌード」「蒲池幸子 濡れ場」といった虚偽のクリックベイト(釣り見出し)を乱発しました。検索エンジン上にそうした文字列がインデックスされ続けた結果、実態を知らない若い世代のネットユーザーが「本当に存在するのではないか」と誤認するサイクルが固定化されてしまったのです。