消費者を混乱させる最大の要因の一つが、製品裏面の成分表示に書かれた「グリチルリチン酸2K」という表記です。知恵袋や美容系掲示板では「ジカリウムと2Kはどちらが肌に優しいのか」「2Kは粗悪な化学合成品ではないか」といった真偽不明の質問が後を絶ちません。しかし、化学的・薬理学的な見地から断言すれば、グリチルリチン酸2Kとの違いに物質的な差異は一切存在しません。
この二重表記が生じる理由は、日本の医薬品医療機器等法(旧薬事法)における厳格な命名ルールの違いにあります。
- 医薬部外品(薬用化粧品):厚生労働省が策定した「医薬部外品原料規格」に基づき、グリチルリチン酸ジカリウムと正式記載することが義務付けられています。
- 一般化粧品:日本化粧品工業連合会が定める全成分表示名称のルールに則り、簡略化されたグリチルリチン酸2K(あるいはINCI名に倣った表記)として記載されます。
つまり、中身の分子構造式は完全に同一であり、違いは「製品がどのような法的枠組みで製造・販売されているか」というカテゴリーの違いに過ぎません。医薬部外品として販売する場合、国が定めた医薬部外品有効成分の基準をクリアしなければなりません。配合濃度は製品の用途(洗い流すシャンプーか、肌に留まる化粧水や美容液か)に応じて通常0.1%〜0.3%の厳格な上限枠が設けられています。
製品の有効性と人体への安全性を両立させるため、厚生労働省認可の安全性と理由には数十年に及ぶ膨大な毒性試験・パッチテストの臨床データが存在します。半世紀近くにわたり日本人の肌で安全性が実証されてきた歴史こそが、国内の主要製薬会社や化粧品受託製造(OEM)大手が揺るぎない信頼を寄せる最大の論拠です。