後藤氏の活動を追う中で多くの人が抱く「なぜ若者の政治参加から地方創生へシフトしたのか?」という疑問には、彼が初期の活動を通じて痛感した構造的な課題が関係しています。
学生時代に推進した主権者教育プログラム「票育」は全国的な絶賛を浴びたものの、日本全体の若者投票率というマクロな数値は、劇的に好転したわけではありませんでした。どれほど啓発イベントを重ねても、「自分たちの暮らす社会や地域に手触り感を持てていない人間が、投票用紙に名前を書くだけでは本質的な変化は起きない」という現実に直面したのです。
社会学における「社会的効力感(Social Efficacy)」の理論が示す通り、人間は「自分の行動によって身の回りの環境が1ミリでも良くなった」という成功体験がなければ、より抽象度の高い国政や政治制度に関心を持ち続けることは困難です。後藤氏が故郷・新潟で展開している活動は、政治の場を否定したのではなく、政治参加の前提となるシビックプライド(市民としての誇りと当事者意識)を醸成するための土台作りに他なりません。
「地方の魅力を再発見し、地域の課題に気付き、自発的にアクションを起こす」。この一連のプロセスそのものが、最も身近なレベルでの「政治参加」であり、後藤氏は手段を啓発キャンペーンから地域プラットフォームの運営へと高度化させたと言えます。
【プロの結論】後藤寛勝のモデルから学ぶ「持続可能な社会変革」の条件
後藤氏のキャリア形成と事業展開から導き出される教訓は、地方創生やソーシャルビジネスに携わる全ての実践者にとって示唆に富んでいます。彼のアプローチが適合するパートナーと、そうでないケースの判断基準は明確です。
【協業・連携が極めて有効に機能するケース】
・行政や従来型企業で、若年層とのコミュニケーションチャネルが断絶している組織
・抽象的な「まちづくり」ではなく、SNSとリアルを連動させた具体的な関係人口創出を目指すプロジェクト
・一次情報を重視し、経営者自らが現場に出て発信や対話を行う覚悟がある地域事業者
【ミスマッチが生じやすいケース】
・従来型の「言われた通りの行政仕様書を消化するだけ」の受託関係を求める組織
・短期的なバズやPV数のみを追求し、地域コミュニティへの定着や持続性を考慮しない施策
・党派性の強いイデオロギー運動の片棒を担がせようとする試み