タイパ(タイムパフォーマンス)やAIによる即座の自動化が当たり前になった2026年。ボタン一つで望む答えが手に入る時代に、なぜ大人はわざわざ高額な金を払い、指を痛めながら手作業の苦痛に身を投じるのか。
行動心理学の専門家はこれを「デジタル疲労の極致における触覚的逃避」と分析する。画面の中の仮想現実は簡単にリセットできる。だが、重さ15キロを超えるプラスチックの塊は、誤魔化しが一切効かない物理的な実体だ。自分の手でひとつずつパーツを嵌め込んでいくプロセスだけが、過剰にデジタル化された脳に強烈な「手触りのある現実」を取り戻させる。
不便で、時間がかかり、思い通りにいかない。だからこそ、そこに本物の達成感が宿るのだ。