広大な上野恩賜公園内に点在する寛永寺ゆかりの史跡を効率よく巡るためには、綿密な拝観ルートの設計が欠かせない。限られた時間でその精髄を堪能するための推奨ルートは以下の通りだ。
まずは、再建された現在の「根本中堂」から歩みを始めよう。堂内に漂う厳かな香煙の中で本尊・薬師如来像に手を合わせたら、隣接する天海僧正を祀る「慈眼堂(両大師堂)」へ。続いて、上野戦争の銃弾痕が生々しく残る上野公園内の「清水観音堂」へと足を伸ばす。京都清水寺を模した舞台から「月の松」越しに見下ろす不忍池の景観は、天海が描いた見立ての美学そのものだ。最後に、上野動物園の敷地内にそびえる旧寛永寺五重塔を遠望し、徳川歴代の栄華と幕末の動乱に思いを馳せるのが最も濃密な体験となる。