神保町と隣接する九段下エリアは、クラシカルな欧風カレーの激戦区としても名を馳せる。玉ねぎを飴色になるまでじっくり炒め、何十種類ものスパイスと上質なバター、生クリーム、特製ブイヨンで煮込まれたルーは、濃厚で奥深いコクが特徴だ。
銀色のソースポットから立ち上る香気。別添えのホクホクとしたジャガイモにバターを溶かしながらカレーを待つ時間は、この地で培われた伝統的な食のプロローグだ。スプーンを入れるとホロホロと崩れる国産牛のビーフカレーや、大ぶりなエビやホタテがゴロゴロと入ったシーフードカレーは、一度食べれば記憶に深く刻まれる。
近年では伝統の味を守りつつ、ハーブの香りを強調した現代的なアプローチを試みる新店も登場。老舗と気鋭店が互いを刺激し合いながら、カレー文化の新たな地平を切り拓いている。