イラスト制作の添削現場において、首周りの違和感として最も多く指摘されるのが「鎖骨を単なる直線のハの字で描いてしまうエラー」です。鏡を見て自分の鎖骨を確認すると直線的に見えがちですが、実際の人体デッサンにおける鎖骨は、上から見るとS字状に湾曲し、正面から見ると中央から肩先へ向かって緩やかな起伏を持っています。
鎖骨を直線で左右均等に引いてしまうと、首の円柱と胴体の楕円ブロックとの接合部が無視され、まるで厚紙の上に線を描いたような平坦な印象を与えてしまいます。特に斜め向きのポーズ(いわゆる2.5次元的な斜め顔)を描く際、直線のまま鎖骨を配置すると、手前と奥のパースペクティブが崩壊し、首が胴体の中心からズレて生えているように見えてしまうのです。
鎖骨は単独で浮いている骨ではなく、胸骨(中央)・肩甲骨(背面)・上腕骨(腕)を物理的に繋ぎ止める「唯一の橋渡し役」です。この接続関係を意識せずに記号として鎖骨を描き込むことこそが、作画違和感の最大の元凶となっています。