神輿渡御の現場で初心者が最も頻繁に見舞われるトラブルが、「動いているうちに帯がずり上がり、結び目がほどけてしまう」という現象です。浅草や神田など都内有数の祭礼で長年神輿を担いできた保存会関係者を取材すると、その原因の9割以上が「帯を締める位置の誤り」にあることが分かります。
洋服のベルト感覚でおへその上や胃のあたりで帯を締めてしまうと、呼吸や屈伸運動によって腹囲が変化し、わずか数十分の歩行や担ぎの振動で摩擦が緩んでしまいます。祭り法被の着方においてかっこいいとされる黄金律は、「帯の位置は腰骨(骨盤の上端)に引っ掛けるように低く巻く」ことです。
東洋医学でいう「丹田(へその下約5〜9cm)」を帯でぐっと押さえるように巻くことで、身体の重心が自然と下がり、激しい動きでも帯が上下に揺れません。さらに、帯の前側をやや下げ、後ろ側(背中側)をやや高くする「前下がり・後ろ上がり」の角度をつけることが、横から見たときの美しい立ち姿を生み出す秘訣です。