自動人形たちの元祖であり、すべての惨劇の発端となったフランシーヌ人形。彼女が最後に残した奇跡は、本作における最大の伏線回収の一つです。
自らの存在意義に悩み続けたフランシーヌ人形が笑顔を浮かべた理由は、かつて命を奪うことしかできなかった彼女が、井戸の底で赤ん坊を守るために自らを犠牲にし、「母性」と「誰かを守る喜び」を理解したからに他なりません。命を持たぬ自動人形が「べろべろばぁ」と笑いかけながら溶けていく姿は、涙腺崩壊のクライマックスとなりました。
その遺志を継ぐかのように、忠誠を誓い続けたアルレッキーノとパンタローネの最期も深い余韻を残します。ただ人間を殺すだけの機械だった彼らが、最期に「音楽を奏でる喜び」や「誰かを守る誇り」に目覚め、静かに機能停止を迎える演出は、切なくも美しい救済の物語でした。