本作が単なるアクションサスペンスにとどまらず、重厚な人間ドラマとして支持される要因は、極限状態に置かれた登場人物たちの信念のぶつかり合いにあります。
物語の中心となる青瓦台(大統領府)内部の権力相関図は、大きく「原則を守る新体制」と「旧来の権力闘争・テロ勢力」の対立構図で描かれます。
主人公のパク・ムジン(チ・ジニ)は、カイスト(韓国科学技術院)化学科教授出身の環境部長官。政治的な駆け引きを極端に嫌い、客観的データと良心のみを信じる学者肌の人物です。突如として最高司令官の椅子に座らされながらも、既存の政治家が選びがちな「党利党略」や「国民感情迎合」に逃げず、愚直なまでに正義を貫きます。チ・ジニの誠実さを体現した静かな佇まいは、観客の感情移入を一身に集めました。
そのムジンを実質的に支え、作中屈指の人気キャラクターとなったのが、大統領秘書室政務秘書官から秘書室長代行へと抜擢されたチャ・ヨンジン(ソン・ソック)です。勝負師としての冷徹な政治的直観を持ちながら、ムジンの持つ「善良さ」に真の指導者の資質を見出し、彼を本物の大統領にするべく策士として奔走します。当時ブレイク前夜であったソン・ソックが見せた、理知的でありながら情熱を内に秘めた演技は、韓国現地メディアからも「青瓦台の最もセクシーな頭脳」と絶賛されました。
対するテロ捜査の最前線を担ったのが、国家情報院のハン・ナギョン(カン・ハンナ)です。テロで最愛の婚約者を失いながらも、国家の危機を救うため命がけで単独捜査を敢行。軍や警察内部の裏切り者に翻弄されながらも、真実を掴み取る強靭な行動力で物語の推進力となりました。
さらに、老獪な野党セジン党代表ユン・チャンギョン(ペ・ジョンオク)や、保身と野心に生きるソウル市長カン・サング(アン・ネサン)など、百戦錬磨の政治家たちが織りなす舌戦は、本作の知的な緊張感を極限まで高めています。