噂に惑わされないためには、疾患そのものに対する医学的に正確な知識を持つことが欠かせません。歌舞伎症候群は、国の医療費助成対象である指定難病187に指定されている先天性の疾患です。
歴史的には、1981年に日本人医師である新川詔夫(にいかわのりお)医師と黒木良和(くろきよしかず)医師らによって相次いで報告され、世界的に認知されるようになりました。当初は歌舞伎役者が舞台で見せる隈取(くまどり)の化粧を想起させる目元から「歌舞伎メイク様症候群」とも呼ばれていましたが、現在では正式に「歌舞伎症候群(Kabuki syndrome)」と呼称されています。
発症原因の研究は2010年代に飛躍的な進歩を遂げました。難病情報センターのデータによれば、12番染色体にあるKMT2D遺伝子、もしくはX染色体にあるKDM6A遺伝子の変異が主な要因と特定されています。これらは細胞内で遺伝子の働きをコントロールするエピジェネティクス(ヒストン修飾)に関わる酵素であり、身体の様々な器官の形成期に影響を及ぼすと考えられています。