食事の後に抗えないほどの眠気に襲われる生理学的要因を紐解くと、最大のトリガーとして浮上するのが血糖値スパイクと呼ばれる急激な血糖値の変動です。丼もの、ラーメン、パスタといった精製炭水化物を急激に摂取すると、血中のブドウ糖濃度が一気に跳ね上がります。
急激な高血糖を感知した膵臓(すいぞう)は、血糖値を正常値へと戻すために大量のインスリンを血中に送り出します。このインスリン過剰分泌によって引き起こされるのが、跳ね上がった血糖値の急降下現象、いわゆる「反応性低血糖」です。脳へのエネルギー供給源である血中グルコースが短時間で奪われる結果、倦怠感や集中力の散漫とともに、頭がぼんやりとする食後低血糖の症状が現れます。
さらに神経科学の観点も見逃せません。視床下部で覚醒状態を維持する神経ペプチド「オレキシン」は、細胞外の血糖値が高まると活動が抑制される性質を持ちます。すなわち、炭水化物の摂りすぎや糖質過多と睡魔は直結しており、生化学的に「目が開けていられない状態」へ身体が誘導されてしまうのです。この急勾配のジェットコースターのような血糖変動こそが、食後強い眠気の理由の筆頭に挙げられます。