年末調整の書類回収時期は、総務現場が最もピリピリする季節です。その現場で毎年のように繰り返されるトラブルが「控除証明書の紛失」と「添付忘れ」です。
「ハガキを捨ててしまったかもしれない」「会社の提出期限である11月中旬までに原本が見つからない」と焦る必要はありません。現在、主要な損害保険会社(東京海上日動、三井住友海上、損保ジャパン、あいおいニッセイ同和など)は、契約者向けWebマイページから控除証明書(PDFファイル)の即時ダウンロード発行サービスを提供しています。電子提出に対応している職場であればそのPDFデータをそのままアップロードでき、紙提出が義務付けられている会社であっても、国税庁の「QRコード付証明書作成システム」を経由して印刷すれば、原本として正式に受理されます。
万一、電話窓口で再発行ハガキの郵送を依頼する場合、手元に届くまで通常3営業日から1週間程度を要します。もし勤務先の社内締め切りに間に合わなかったとしても、以下のリカバリー手段が法的に担保されています。
- 翌年1月の再年調:給与計算の最終確定前(翌年1月下旬頃まで)であれば、勤務先の総務部へ追加提出することで年末調整をやり直してもらえるケースがある。
- 翌年2月16日以降の確定申告:会社の年末調整から漏れてしまっても、源泉徴収票と控除証明書を添えて確定申告を行えば、指定口座に控除分が全額還付される。
- 5年間の還付申告枠:「過去数年間、地震保険に入っていたのに年末調整で出し忘れていた」という場合でも、過去5年間に遡って「還付申告」を行うことが可能。管轄税務署へ申告書を提出すれば、払いすぎた税金は後からでも回収できる。
ネット上にはびこる最大の誤解のひとつに、「火災保険の領収書を添付すれば控除される」というものがあります。かつて存在した「損害保険料控除」は2006年末に廃止されており、現在は純粋な火災保険料は1円たりとも控除対象になりません。「火災保険証書」そのものを申告書にホチキス留めして提出し、差し戻しを食らうケースは後を絶ちません。提出義務があるのはあくまで「地震保険料控除証明書」です。