夜空に瞬く無数の光を見上げるとき、まず押さえておくべき大前提があります。それは、天文学において私たちが「星」と総称している天体のうち、自ら光る星(自発光天体)と他者の光を反射して光って見える星が混在しているという事実です。
自ら強い光と熱を放ち続ける天体を、天文学では「恒星(こうせい)」と呼びます。夜空に見える星の99%以上は、太陽系のはるか彼方に位置する恒星です。そして、私たちが昼間に仰ぎ見る太陽もまた、地球から約1億5,000万キロメートルという至近距離にある典型的な恒星の1つに過ぎません。太陽が光る理由と、夜空のオリオン座や白鳥座の星々が光る物理的理由は完全に同一です。
一方で、夜空でひときわ強く光を放っているにもかかわらず、自らは1ミリも光を発していない天体が存在します。それが「惑星(わくせい)」や「衛星(えいせい)」です。代表例が夕暮れや明け方に強烈な輝きを放つ金星(宵の明星・明けの明星)、赤く輝く火星、雄大な木星、そして地球の周りを回る月です。月や金星が光って見える理由は、自ら燃えているからではなく、表面が太陽光を鏡のように反射しているためです。たとえば金星は、星全体を包む濃密な硫酸の雲が太陽光の約70%を反射(高いアルベド値)しているため、自ら発光していないにもかかわらず、時に1等星の数十倍もの明るさで輝いて見えます。
両者の見分け方は非常にシンプルです。宇宙空間のダイナミズムにおいて、質量が足りずに自力で核反応を起こせなかった冷たい岩石やガスの塊が惑星であり、自重で極限まで圧縮されて火がついた超巨大ガス球こそが恒星なのです。