紙面上の緻密な生態系描写を、息を呑むアニメーションへと昇華させたのが小島正幸監督とアニメーション制作スタジオのキネマシトラスだ。
アニメシリーズおよび『劇場版メイドインアビス 深き魂の黎明』、そして続編『メイドインアビス 烈日の黄金郷』に至るまで、映像化における生物表現へのこだわりは凄まじいの一言に尽きる。原生生物の筋肉の脈動、光彩の濁り、捕食時の生々しい音響設計に至るまで、妥協なき演出が貫かれた。
『深き魂の黎明』で描かれたボンドルドとの死闘や過酷な環境描写、『烈日の黄金郷』で描かれた成れ果て村を取り巻く異形の生態系は、アニメーション表現の到達点として国内外の批評家から絶賛を浴びた。画面越しに伝わる湿度と異臭、そして抗いようのない捕食圧が、視聴者を深淵の当事者へと変えていく。