彼の歩みは、常にインディペンデントな精神と共にある。2007年に設立したSCHOLE RECORDSは、音楽のみならずアートワークやデザインを含めた包括的な美意識を発信し続け、世界中に熱狂的なファンコミュニティを形成した。特定の流行に迎合することなく、手触りのある良質な音楽を世に送り出すプラットフォームとしての役割を果たしてきたのだ。
その揺るぎない美学は、マックス・リヒターやルドヴィコ・エイナウディといった巨匠を擁する英名門デッカ・レコード(Decca Records)の耳にも留まる。日本人作曲家として同レーベルからワールドワイドリリースを果たしたことは、アジア発のポストクラシカルが正当に評価された記念碑的な出来事だった。確かな伝統と前衛的な感性が交差する場所で、彼の音楽は一段と研ぎ澄まされていった。