日本のポピュラー音楽史において、路上発のカルチャーをメインストリームへと押し上げた立役者といえば、間違いなくゆずだろう。横浜・伊勢佐木町の路上ライブからスタートした北川悠仁と岩沢厚士の二人は、アコースティックギター2本とタンバリン、そして突き抜けるハイトーンボイスだけで日本中を熱狂させた。彼らが提示したのは、旧来のフォークソングが持っていた哀愁や土臭さを、瑞々しいポップネスへと昇華させるアプローチだった。
一方、大阪の路上で出会い、圧倒的な歌唱力で聴く者の足を止めさせたのがコブクロだ。小渕健太郎の繊細で情景豊かなソングライティングと高音部を支えるコーラス、そして黒田俊介の包容力に満ちた太く深い主旋律。この二人のコントラストは、まさにフォークデュオにおける黄金比と呼ぶにふさわしい。彼らが紡ぎ出すバラードは、派手なエフェクトに頼ることなく、声の力だけで巨大なアリーナを静寂と感動で包み込む力を持っていた。
ゆずとコブクロが切り拓いた地平は、後進のミュージシャンたちに「生身のハーモニーが持つ普遍的な強度」を強く印象づけた。どれほど制作テクノロジーが発展しようとも、二人の声が重なった瞬間に生まれる倍音の心地よさは、時代を超えて人々の琴線を揺さぶり続けている。