「コンピュータ付きブルドーザー」と呼ばれ、戦後日本を力技で牽引した田中角栄。没後長い年月が経過した現在、NetflixやNHKオンデマンドをはじめとする動画配信サービスでは、彼を題材にした政治ドキュメンタリーや昭和のアーカイブ映像が静かなブームを巻き起こしている。
かつての時代を知らない若い世代が、なぜこれほどまでに彼の言葉に惹きつけられるのか。理由は明白だ。彼の語り口には、机上の空論を徹底して嫌う「現場の泥臭いリアリズム」が宿っている。日本政治史を振り返っても、人間の欲望、弱さ、そして情愛をこれほど深く洞察したリーダーは他にいない。発せられた言葉のすべてが、自らの血肉を削って購われた実践知だったのだ。