甘く見ていた。完全に。
通常のレゴセットであれば、赤、青、黄といった鮮やかなパーツが作業の道標となる。小分けにされた袋ごとにナンバリングが施され、手順通りに組んでいけば誰でも形にできる。だが、この最新フラッグシップモデルにそんな優しさはない。
視界を埋め尽くすのは、微妙に質感と傾斜角度が異なる同系色の黒とダークグレーのみ。開発陣はあえて視覚的トラップを仕掛けている。形状が酷似した数千個のマイクロパーツから、わずか1ミリの厚みの違いを見つけ出さなければならない。高照度デスクライトの光の反射だけを頼りにパーツを判別する作業は、組み立てというよりは「夜間の化石発掘」に近い。目の奥が重く痛み、集中力は1時間が限界だ。