かつてのデパートといえば、中高年層や富裕層がメイン顧客というイメージが強かった。しかし現在のフロアを観察すると、高校生や大学生のグループから、長年通い続けるシニア層、小さな子供を連れたヤングファミリーまで、驚くほど多様な層が同居している。この「雑多な賑わい」こそが、従来の商業施設にはない独自の空気感を生み出している。
若者が集まる理由は、SNSで話題のポップアップストアやデジタルアートのギャラリースペースだけではない。シニア世代が昔からの接客文化を楽しんでいる隣で、若者がベンチに腰掛けてノートPCを開き、Wi-Fi環境の整ったテラスで作業をする。世代ごとに異なる目的を持ちながら、同じ空間で心地よく過ごせる「余白」のデザインが、徹底して計算されているのだ。