集英社が刊行した原作コミックスにおいて、吾峠呼世晴氏の描く人物の表情やコマ割りは実に雄弁だった。感情を装う童磨の貼り付けたような笑顔と、静かな怒りをたたえるしのぶの瞳のコントラストは、読者に強烈な印象を残した。一見すると絶望的な戦況の中で、しのぶが継子である栗花落カナヲや嘴平伊之助へと意志を繋いでいく展開は、人間の血の通った絆が鬼の虚無に勝つ瞬間を象徴している。
この命を賭したバトンリレーこそが、作品の真骨頂である。童磨という圧倒的な強者を倒すために払われた代償の大きさと、それゆえに輝く人間の意志の強さが、読者の心に深く刺さって離れない。