事業仕分けの歴史において、最も強烈なインパクトを残したのが、2009年11月13日の次世代スーパーコンピュータ開発事業をめぐる議論でした。仕分け人を務めた蓮舫参議院議員(当時)が、文部科学省の担当者に対して放った「世界一を目指す理由は何か」「2位じゃダメなんでしょうか」という発言です。
発言の背景には、巨額の国費(約1,100億円規模)を投じるスパコン開発において、「世界最速の称号(1位)を獲ること自体が自己目的化しており、国民生活や産業応用への具体的な波及効果の説明が不十分である」という仕分け人側の問題意識がありました。蓮舫氏側としては、莫大なコスト対効果を厳格に問いただすロジックの一環だったとされています。
しかし、文科省側の官僚が「世界一を目指すことで技術革新が起きる」という抽象的な精神論に終始したことも重なり、この数秒間のやり取りがメディアで繰り返し切り取られて報道されました。当時のネット上の反応は二極化し、動画配信サービス「ニコニコ生放送」のリアルタイムコメントや掲示板では「税金の無駄を鋭く突いた」と絶賛する声が上がる一方、「科学技術立国としての誇りと将来をドブに捨てる暴言だ」という激しい批判が噴出。政策論争を超えた一大社会現象へと発展していったのです。