雨の日の街中には、目に見えない危険が潜んでいる。特に危険視されているのが、傘骨の先端(露先)が他人の目線と同じ高さになる現象だ。大人と子供、あるいは背格好の異なる歩行者がすれ違う際、傘の開き方や持ち方次第で視界を奪い、重篤な怪我につながる恐れがある。
日本古来の粋な知恵として知られる「傘かしげ」は、現代の都市部でも極めて有効な防衛策だ。狭い歩道ですれ違う瞬間、相手と反対側にすっと傘を傾ける。たったこれだけの所作で、露先が相手の顔に当たるのを防ぎ、傘同士の衝突もしなやかに回避できる。さらに、建物から出る際には、周囲に人がいないか確認してからゆっくりと斜め下に向けて開くのが鉄則だ。濡れた滴を周囲に飛ばさない気遣いこそ、大人の品位と言える。