なぜこれほど「症状のなさ」が不安の種になりやすいのか。その背後には、フィクション作品やテレビドラマが構築してきた過度のイメージ形成も関わっている。
産婦人科医療の真摯な現場を描き熱狂的な支持を集めたドラマ『コウノドリ』のような良質な医療作品は、出産に伴うリスクや生命の尊さを社会に広く伝えた。一方で、映画やドラマの創作物において「妊娠の発覚」を描く際、突然洗面所へ駆け込んで激しく吐き戻す演出は定番の手法として多用されてきた。こうした印象的な映像表現の積み重ねが、「妊娠=激しいつわりに苦しむもの」という強固な固定概念を人々の意識に植え付けた側面は否めない。