山本美香氏が最期の地に足を踏み入れたのは、2012年8月20日のことでした。激化するシリア内戦の実態を伝えるため、反体制派組織「自由シリア軍」の案内を受け、シリア北部の激戦地アレッポのスレイマン・アル・ハラビ地区に入り、取材を進めていました。
取材経緯の詳細は、同行していた取材パートナーの証言や現場の記録によって明らかになっています。通りを進んでいた山本氏らの一行は、迷彩服を着たシリア政府軍、あるいは親政権派武装勢力「シャッビーハ」と見られる部隊と至近距離で遭遇しました。部隊側は警告なしに突如として猛烈な銃撃を開始したと伝えられています。
激しい乱射の中で山本氏は複数の銃弾を受け、搬送先の病院で死亡が確認されました。死因は頸部や胸部への銃撃による出血性ショックおよび重度の外傷でした。当時45歳という若さでの無念の殉職は、日本国内のみならず世界中のメディアに大きな衝撃を与えました。