ネット上やSNSでは「フルビット免許を取っても実用性はない」「単なる自己満足の無駄遣い」と冷ややかに評されるケースも少なくありません。確かに、実務上すべての車両を運転する機会に恵まれる職業は存在せず、大型二種と牽引、大型特殊を持っていれば、法的な運転範囲の大部分はカバーできてしまいます。
しかし、フルビット保持者が直面する本当の盲点は「取得後の維持リスク」にあります。
第1に、「免許更新時の適性検査リスク」です。大型や二種免許を保持しているため、通常の視力検査だけでなく「深視力検査(三桿法の奥行き知覚検査)」が更新ごとの必須条件となります。加齢や体調不良によって深視力検査に合格できなくなった場合、下位免許への格下げ(大型・二種の取消)を余儀なくされ、苦労して完成させたフルビットの盤面が崩壊するリスクを常に背負い続けます。
第2に、「点数制度における一蓮托生リスク」です。原付で一時不停止を犯そうが、普通車でスピード違反をしようが、違反点数は免許証全体に累積します。万が一、重大違反で免許取消処分を受けた場合、全15区分が一瞬で消滅し、再度フルビットを構築するには数百万円と数年の歳月をかけてゼロからやり直す必要があります。