仮に測定の瞬間にわずか数ミリ〜1センチほど数値を縮めることができたとしても、医療的な観点からは実質的な意味を持ちません。なぜなら、生活習慣病のリスクは腹囲単体ではなく、血液検査や血圧の複合データによって総合的に評価されるためです。
お腹をへこませて腹囲の数値を基準値未満に抑え込んだとしても、中性脂肪やLDLコレステロール、空腹時血糖、肝機能(AST・ALT・γ-GTP)の数値に異常があれば、健康リスクが存在する事実に変わりはありません。
いわゆる「隠れメタボ」と呼ばれる状態では、外見上の腹囲が見かけ上細くても、内臓周囲や肝臓に脂肪が沈着しているケースが多々あります。数値を偽って保健指導をすり抜けてしまうと、血管の動脈硬化や糖尿病の進行といった重大な異変を見過ごす危険性すら生じます。
健康診断は「合格・不合格を決める試験」ではなく、自分自身の現在の健康状態を客観的に把握するための定点観測です。取り繕った数字でその場を乗り切るよりも、ありのままの数値を直視することに本来の価値があります。