この地にまつわる怪談を紐解く上で、避けて通れない歴史がある。かつてこの場所で発生した1972年の千日前デパート火災だ。日本のビル火災史上最悪とも言われる大惨事であり、100名を超える尊い命が失われた。この悲劇の記憶は、大阪という街の記憶に深く刻み込まれている。
さらに歴史の針を江戸時代まで巻き戻すと、千日前一帯は「千日墓地」や処刑場、焼き場が存在した土地であったことが古文書から確認できる。明治以降に興行街として急速に発展し、映画館や劇場、キャバレーがひしめく歓楽街へと姿を変えたものの、土地に刻まれた過酷な歴史のレイヤーは消え去らない。重大な火災事故と過去の歴史が複雑に絡み合った結果、いつしか千日前というエリア全体が関西屈指の心霊スポットとして語り継がれるようになってしまったのだ。