完結編『シン・エヴァンゲリオン劇場版』で描かれた「人類補完計画」は、この使徒と人類の悲しい分断を終わらせる試みだった。すべての人の心の壁(A.T.フィールド)を取り払い、一つの巨大な生命のスープへと溶け合わせることで、孤立や痛みから解放されようとしたのである。
しかし、主人公・碇シンジが最終的に選んだ決断は、補完による安易な救済ではなかった。使徒やエヴァが存在しない「他者が存在する世界」で、傷つきながらも生き直す道だ。使徒という恐怖の象徴を乗り越え、人間として互いの違いを認め合う姿に、作品が30年かけて到達した答えがあった。