酒場通にとって、御徒町は特別な意味を持つ聖地だ。酒場詩人として知られる吉田類が番組『吉田類の酒場放浪記』で訪れた名店は、今も変わらぬ佇まいで酒客を迎える。暖簾をくぐった瞬間に漂う出汁の香り、使い込まれた木のカウンター。彼の足跡を辿るように店を訪れるファンは後を絶たない。
一方で、グラフィックデザイナーであり居酒屋探訪家でもある太田和彦が絶賛するような、静謐な美意識を宿した酒場も潜んでいる。丁寧に出されたお通し、酒器の選定、そして店主の付かず離れずの間合い。賑やかな喧騒から一歩入った路地裏で、洗練された酒と肴を味わう至福の時間が流れている。