20世紀初頭、装飾性の高いスペンサリアン体に対して「より速く、より実用的に」書くためのイノベーションが起きた。教育者オースティン・ノーマン・パーマーが開発した「パーマー・メソッド」である。腕全体の運動を活用して筋肉の疲労を抑えるこの合理的な筆記法は、ビジネス文書の効率化を求める米国の学校教育や企業へと急速に普及した。
指先だけでちまちまと書くのではなく、肩と肘を軸にした流れるようなストロークを用いるパーマー・メソッドは、現代でも「疲れない美しい手書き」の基本として高く評価されている。流麗さとスピードを両立させるこの手法こそ、ネイティブに一目で伝わる実用美の原点と言える。