「生牡蠣を食べると、かなりの確率であたる」というパブリックイメージが定着していますが、客観的なデータに基づくとその実態は大きく異なります。厚生労働省が公表している食中毒発生状況や、全国主要産地の水産流通データを総合すると、厳格な衛生基準をクリアして市場に出回る正規の生食用牡蠣にあたる確率は、統計上わずか0.1%〜1%未満にとどまります。
それにもかかわらず、大手ポータルサイトの意識調査やSNSのアンケートでは「人生で一度は牡蠣にあたった経験がある」と答える人が約15〜20%に達します。この統計数値と体感確率の乖離には、明確なからくりが存在します。
第一に、生牡蠣は忘年会や新年会、歓送迎会といった「飲酒や過労で免疫力が著しく低下している場面」で大量に消費されやすい点です。第二に、ノロウイルス食中毒は少数のウイルス粒子(わずか10〜100個程度)が体内に侵入するだけで感染が成立するため、家族やグループで大皿を囲んだ際に「全員が一斉に倒れる」という集団感染を引き起こし、記憶に強烈に焼き付くためです。
市場に出回る生食用牡蠣そのものの安全性は、生産現場の高度な浄化技術によって極めて高く保たれています。一方で「誰が、どのような体調で、どの種類の牡蠣を食べたか」によって、個別のアタック率は跳ね上がります。