かつて地方鉄道の救世主ともてはやされた豪華な観光列車だが、そのブームは曲がり角を迎えている。どこも似たようなコンセプトで顧客を奪い合い、リピーターの獲得に苦しんでいるのが実情だ。今、求められているのは一過性の派手さではない。
一部の先進的な路線が舵を切ったのは、「日常の延長線上にある特別感」の演出だ。地元の高校生が通学に使う横で、旅行者が地酒とローカルフードを楽しむ。そんなカオスで温かみのある空間づくりが、逆に都市部の若者を引きつけている。過剰な演出を削ぎ落とし、ありのままの日常をコンテンツ化する戦略が功を奏し始めているのだ。