のれんをくぐると、そこには昭和の温もりがそのまま残る空間が広がっている。ガラガラと引き戸を開ければ「いらっしゃい」と威勢のいい声。会津の大衆食堂は、単に食事を提供する場所にとどまらない。地元のお年寄りや近所の勤め人が集い、世間話に花を咲かせる憩いの場だ。
かつて大河ドラマ『八重の桜』で描かれた強靭な会津魂と、地域住民が大切にしてきたおもてなしの心。それは湯気が立ち上る味噌汁の一滴、盛りの良い白米の一粒にまで宿っている。小鉢に添えられた手作りの漬物や煮物の優しさに、思わず笑みがこぼれてしまう。過度な装飾を排した質実剛健な定食こそ、この街の誇りそのものと言えるだろう。