食材としての優れたポテンシャルがありながら、最大の障壁となってきたのが「視覚的な抵抗感」である。いくら味がエビに似ていようと、脚や触覚が残る姿をそのまま口に運べる人間は限られている。この壁を破ったのが、急速に進化を遂げるフードテックの技術革新だ。
現在、大手フードテック企業や研究機関では、昆虫をそのまま食べるのではなく、高度な抽出・微粉末化技術を用いた加工を行っている。脱脂処理を施した後に微細なパウダーへと加工し、プロテインパウダーやスナック菓子、パスタ、代替肉の原料として組み込む手法が確立された。
姿形を消し去ることで心理的ハードルを取り除くだけでなく、ナッツのような独自の香ばしい風味を隠し味として活かす製品開発が進む。スーパーの棚に並ぶ日常的な食品の中に、気付かぬうちに質の高い昆虫由来の栄養が溶け込む未来は、もはやSFの世界の話ではない。