2026年に入っても、千住真理子のコンサートスケジュールは密密と詰まっている。大都市のシンフォニーホールから地方の市民会館に至るまで、全国津々浦々を精力的に訪れる姿勢はデビュー当時から変わらない。年間数多くのステージに立ち続けるのは、生の音の温もりを直接聴衆に届けたいという強烈な信念があるからだ。
ステージ上の彼女は、一小節ごとに全神経を注ぎ込む。バッハの無伴奏ソナタで見せる研ぎ澄まされた祈りの境地から、クライスラーの小品で魅せる小粋で情熱的な表情まで、そのプログラムは変幻自在だ。会場に足を運んだ観客は、彼女の手元から紡ぎ出される一音一音に息を呑み、ホール全体が一体となるカタルシスを体感することになる。