ピコレーザーが万能と呼ばれる背景には、1台の機器でハンドピースや照射パラメーターを切り替えることにより、全く異なる3つの肌悩みに対応できる点があります。それぞれの照射手技と推奨されるピコレーザー施術回数の目安を正しく把握することが不可欠です。
1つ目は、輪郭がはっきりした老人性色素斑(一般的なシミ)やそばかすを標的とする「ピコスポット」です。高出力のレーザーを局所へピンポイントに照射し、メラニンを一網打尽にします。従来のシミ取りに比べ組織損傷が浅いため、ピコスポット効果は非常にシャープで、照射部にかさぶたが生じても薄い膜状にとどまり、軟膏やテープ保護なしで翌日からメイクが可能なクリニックも増えています。施術回数は、境界明瞭なシミであれば基本1回、根の深い病変でも1〜2回程度で大きな改善を実感できます。
2つ目は、低出力のエネルギーを顔全体へシャワーのように均一照射する「ピコトーニング」です。従来のレーザーでは熱刺激によってメラノサイトが暴走し、悪化するリスクが極めて高かった肝斑に対して、光音響作用でメラノサイトを過剰刺激することなく、蓄積したメラニンのみを徐々に排出させます。このピコトーニング肝斑治療は、くすみの改善や肌トーンアップを同時に目指す治療であり、2〜4週間に1回の間隔で5回〜10回程度の継続治療が標準的なプロトコルです。
3つ目は、特殊なフォーカスレンズを用いてレーザー光を無数の微小点状に集束させる「ピコフラクショナル」です。表皮を切り裂くことなく、真皮深層に「LIOB(レーザー誘起光ブレイクダウン)」と呼ばれる極小の空洞を微小衝撃波で形成します。皮膚表面に穴を開けないためダウンタイムを最小限に抑えつつ、皮膚本来の創傷治癒機転をフル稼働させてコラーゲンやエラスチンの増生を強制的に誘発。結果として、開いた毛穴の引き締め、ニキビ跡の凹凸(クレーター)、小じわの改善に優れた効果を発揮します。ピコフラクショナル毛穴治療は、月1回のペースで3回〜5回ほど反復することで肌密度の変化を実感できます。